財政と租税
国や地方公共団体はどのようにお金を集め、何に使っているのでしょうか。財政は国民生活を支える重要な仕組みであり、租税の公平な負担が民主主義の基本とされています。
基本知識
財政とは政府の収入(歳入)と支出(歳出)の活動です。財政の三機能は①資源配分(市場が提供しにくい公共財・サービスの提供)、②所得再分配(累進課税や社会保障で格差を縮小)、③景気安定化(財政政策による景気調整)です。税は直接税(所得税・法人税・相続税など:担税者と納税者が同じ)と間接税(消費税・酒税など:担税者と納税者が異なる)に分類されます。所得税には収入が多いほど税率が高くなる累進課税が採用されており、所得再分配機能を担います。景気が悪いときに公共事業を増やし減税を行う積極財政(拡張的財政政策)と、景気過熱時に公共事業を減らし増税を行う緊縮財政があります。歳出が歳入を上回る財政赤字は国債発行により補われ、日本の国債残高は1000兆円超に達しています。
直接税(所得税・法人税など。納税者と担税者が同じ)
間接税(消費税・酒税など。納税者と担税者が異なる)
累進課税(所得が高いほど税率が高くなる課税方式。所得税・相続税に適用)
財政政策(政府が歳出・歳入を調整して景気をコントロールする政策)
社会保障(社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生の四本柱)
ビルトイン・スタビライザー(景気変動を自動的に緩和する財政機能。累進課税・失業給付など)
深掘り (背景・意義)
日本の社会保障制度は「社会保険(医療保険・年金・介護保険・雇用保険・労働者災害補償保険)」「公的扶助(生活保護)」「社会福祉(障害者・高齢者・児童福祉)」「公衆衛生(保健所・予防接種)」の四本柱で構成されます。少子高齢化の進行で社会保障費が増大し、現役世代の負担が増しています。消費税は逆進性(低所得者ほど負担感が重い)の問題がある一方、安定した財源として社会保障費に充てられています。ケインズ経済学では政府が積極的に財政出動すべきと主張しますが、財政赤字の拡大が将来世代への負担になるという批判もあります。
- 財政の三機能:資源配分・所得再分配・景気安定化
- 累進課税は所得税・相続税に適用(消費税は比例税率)
- 社会保障四本柱:社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生
- ビルトイン・スタビライザー:景気に合わせて自動的に税収・給付が変動する機能
- 日本の歳出:社会保障費が最大項目(全体の約3分の1)
- 消費税の逆進性:所得に占める税負担割合が低所得者ほど大きい
- 国債残高1000兆円超:将来世代への財政負担問題
注意点 (混同しやすい)
① 直接税と間接税の定義:直接税は担税者=納税者、間接税は担税者≠納税者(消費者が負担、事業者が納付)。② 累進課税は所得税・相続税に適用、消費税は一律の比例税率。③ 財政政策(政府の歳出・歳入操作)と金融政策(日銀の金利・資金量操作)は別の政策手段。④ 社会保険(保険料を支払って受給資格を得る)と公的扶助(生活保護:要件を満たせば無料で受給)は仕組みが異なる。
練習
- 「累進課税」とはどのような制度ですか。財政の「所得再分配」機能との関係を含めて説明してください。
- 直接税と間接税の違いを、「担税者」と「納税者」という語を使って説明し、それぞれの具体例を挙げてください。
- 日本の社会保障制度の「四本柱」を挙げ、それぞれの内容を簡潔に説明してください。