地球規模の課題
今日の国際社会は、一国だけでは解決できない深刻な問題を多数抱えています。南北問題、貧困、人口問題、難民、地域紛争など、地球規模の課題の現状と背景を理解しましょう。
基本知識
南北問題とは、北半球に多い先進国と南半球に多い発展途上国との間の経済格差問題です。発展途上国は低所得・一次産品依存・累積債務などの課題を抱えています。発展途上国間にも格差があり、産油国や新興工業経済地域(NIES)などの「北」に近い国と、後発発展途上国(LDC)との格差を南南問題といいます。
世界では今も約7億人が極度の貧困(1日1.90ドル未満)にある(世界銀行基準)とされています。人口問題では、世界人口は2022年に80億人を突破しました。人口増加の多くは南アジア・サブサハラアフリカなどの発展途上地域で起きており、食料・水・雇用の不足が深刻です。
難民は、戦争・迫害・自然災害などを逃れて国境を越えた人々です。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が保護にあたります。地域紛争は、民族・宗教・資源などをめぐる国内・国家間の武力衝突であり、冷戦終結後に増加しました。多くの難民・国内避難民を生み出す要因ともなっています。
南北問題(先進国と発展途上国の経済格差問題)
南南問題(発展途上国間に生じた経済格差問題)
後発発展途上国(LDC)(発展途上国のなかで特に開発が遅れた国々)
難民(迫害・紛争等を逃れ国境を越えた人。UNHCRが保護)
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所。難民の国際的保護を担う)
地域紛争(民族・宗教・資源等をめぐる国内外の武力衝突)
深掘り (背景・意義)
南北問題の背景には植民地支配の歴史があります。発展途上国の多くはかつて先進国の植民地として一次産品輸出に特化させられ、工業化が阻まれました。1964年には発展途上国の利益を代弁する国連貿易開発会議(UNCTAD)が設立され、「援助より貿易を」と新国際経済秩序(NIEO)の樹立が求められました。
難民問題は近年深刻化しており、2010年代のシリア内戦では600万人を超える難民が生まれました。また「難民」と認定されず保護の谷間に置かれる「庇護申請者」や国内避難民(IDP)の問題も重要です。地域紛争には冷戦期の代理戦争が残した武器の蔓延、民族・宗教的対立、資源をめぐる利権争いなど複合的な要因があります。これらの課題は互いに絡み合い、単独の解決策では対処が難しいです。
- 南北問題:「南=発展途上国、北=先進国」の経済格差
- 南南問題:発展途上国内部の格差(産油国・NIESとLDCの差)
- 世界人口は2022年に80億人突破。増加の多くは途上地域
- 難民の定義:人種・宗教・国籍・政治的意見等による迫害を逃れた人
- 国内避難民(IDP)は難民条約の対象外で保護が手薄になりやすい
- 地域紛争:民族・宗教・資源が複合的に絡む場合が多い
注意点 (混同しやすい)
① 難民と移民の違い:難民は迫害・紛争を逃れた人、移民は経済的理由等で自発的に移動した人。② 南北問題と南南問題:前者は先進国・途上国間、後者は途上国間の格差。③ UNHCR(難民高等弁務官事務所)とUNICEF(児童基金)は異なる機関。④ LDCは「Last Developed Countries」ではなくLeast Developed Countries(後発発展途上国)が正式名称。
練習
- 南北問題が生じた歴史的背景を説明しなさい。
- 難民と国内避難民(IDP)の違いを、保護の観点から述べなさい。
- 地域紛争が多発する背景にはどのような要因があるか、複数挙げて説明しなさい。