情報社会と科学技術
インターネットやAIの普及により、情報社会は私たちの生活を大きく変えています。便利さの一方で新たなリスクや倫理的課題も生まれており、情報リテラシーと科学技術倫理の視点が不可欠です。
基本知識
情報社会では、情報・知識が経済・社会の中心的な資源となります。インターネットの普及により情報の流通が飛躍的に速くなった一方、フェイクニュース・誹謗中傷・著作権侵害・個人情報漏洩などの問題も深刻化しています。情報を正しく取捨選択・評価・活用する能力を情報リテラシーといいます。
個人情報の保護については、2003年に個人情報保護法が制定されました(2022年改正)。自分の個人情報をコントロールする権利をプライバシーの権利といいます。
AI(人工知能)の発展は、労働・医療・教育など社会のあらゆる分野に影響を与えています。AIによる意思決定の透明性・公平性・責任の所在をめぐる倫理問題(AI倫理)が国際的な課題となっています。
生命科学の進歩(遺伝子操作・クローン技術・臓器移植・終末期医療など)をめぐる倫理的課題を生命倫理(バイオエシックス)といいます。科学技術の恩恵を受けつつリスクを社会全体で管理する考え方をテクノロジーアセスメントといいます。
情報リテラシー(情報を正確に収集・評価・活用する能力)
個人情報保護法(個人情報の適切な取扱いを定めた日本の法律。2003年制定)
AI倫理(AIの開発・利用における公平性・透明性・説明責任等に関する倫理的指針)
生命倫理(バイオエシックス)(生命科学技術の発展に伴う倫理的問題を扱う学問分野)
デジタルデバイド(情報技術へのアクセス・活用能力の格差。世代間・地域間・国際間で生じる)
テクノロジーアセスメント(科学技術の社会的影響を事前に評価し、リスク管理を行う仕組み)
深掘り (背景・意義)
情報社会は「第三の波」(トフラー)として工業社会に続く新たな文明段階とも捉えられます。SNSの普及により個人が情報を世界に発信できるようになった一方、フィルターバブル(自分好みの情報しか届かなくなる現象)やエコーチェンバー(同質的意見のみが増幅される空間)が民主主義にとっての課題となっています。
生命倫理では「インフォームドコンセント(十分な説明に基づく患者の同意)」が医療の基本原則として定着しています。また、ヒトゲノムの解析・遺伝子治療・生殖補助医療など最先端技術が生み出す「どこまで許容すべきか」という倫理的問いに、社会全体で向き合う必要があります。AIについては、人間の判断を代替するシステムに誰が責任を持つかという「アルゴリズムの説明責任」が世界的に議論されています。
- 情報リテラシーは「情報を選ぶ・判断する・使う」能力
- 個人情報保護法:2003年制定、2022年に大幅改正
- デジタルデバイドは世代間・地域間・国際間で存在する
- 生命倫理の基本:インフォームドコンセント(説明に基づく同意)
- AI倫理の課題:透明性・公平性・説明責任・雇用への影響
- フィルターバブルは民主主義の多様な意見形成を阻害するリスクがある
注意点 (混同しやすい)
① プライバシーの権利(自己情報のコントロール権)と知る権利(公的情報への開示請求権)は異なる権利。② 著作権(創作物の権利)と個人情報(氏名・住所等の識別情報)は保護対象が異なる。③ フェイクニュース(意図的な虚偽情報)と誤情報(ミスインフォメーション)(意図なく広まる誤り)を区別する概念がある。④ テクノロジーアセスメントは技術の「評価・規制」であり、技術開発そのものを否定するものではない。
練習
- 情報リテラシーが現代社会において重要な理由を、フェイクニュースやフィルターバブルの問題と関連付けて述べなさい。
- AI技術の発展がもたらす倫理的課題を二点挙げ、それぞれ説明しなさい。
- 生命倫理における「インフォームドコンセント」とはどのような原則か説明しなさい。