情報II / 情報とデータサイエンス 2 / 6

統計量と分布 — 分散・標準偏差・箱ひげ図

統計量と分布 — 分散・標準偏差・箱ひげ図

データ全体の特徴を少数の数値で要約したものを統計量と呼びます。この講義では、中心を表す代表値、散らばりを表す分散・標準偏差、分布の形を要約する四分位数と箱ひげ図、そして自然界や社会に広く現れる正規分布を学びます。

代表値 — 平均値・中央値・最頻値

平均値:合計をデータの個数で割った値。すべてのデータを使うが、外れ値に弱い
中央値:小さい順に並べたときの真ん中の値。外れ値に強い。データが偶数個のときは中央2つの平均。
最頻値:最も多く現れる値。質的データにも使える唯一の代表値。

散らばりを測る — 分散と標準偏差

平均が同じでも、データが平均の近くに集まっているか、広く散らばっているかは大きな違いです。散らばりの指標が分散標準偏差です。

① 各データから平均を引いた値を偏差という。偏差の合計は必ず0になる。
② 偏差を2乗して平均したものが分散
③ 分散の正の平方根が標準偏差。元のデータと同じ単位に戻るため解釈しやすい。

📘 例 5人の小テストの得点 4、8、10、12、16(点)で計算してみましょう。
・平均値 = (4+8+10+12+16)÷5 = 50÷5 = 10点
・偏差 = −6、−2、0、2、6(合計0になることを確認)
・偏差の2乗 = 36、4、0、4、36 → 合計80
・分散 = 80÷5 = 16
・標準偏差 = √16 = 4点
「平均10点、標準偏差4点」と言えば、得点がだいたい10点を中心に±4点くらいの幅で散らばっている様子が伝わります。

四分位数と箱ひげ図

データを小さい順に並べて4等分する位置の値を四分位数と呼びます。小さい方から第1四分位数(Q1)第2四分位数(Q2=中央値)第3四分位数(Q3)です。Q3−Q1を四分位範囲(IQR)と呼び、中央付近50%のデータの広がりを表します。

最小値・Q1・中央値・Q3・最大値の5つ(5数要約)を1つの図に表したのが箱ひげ図です。箱がQ1〜Q3、箱の中の線が中央値、ひげが最小値・最大値を表します。複数のグループの分布を並べて比較するのに便利です。

📘 例 7人の得点 40、50、55、60、70、80、90(点)の四分位数を求めます。
・中央値(Q2)= 4番目の 60点
・Q1 = 中央値より下の組 {40, 50, 55} の中央値 = 50点
・Q3 = 中央値より上の組 {70, 80, 90} の中央値 = 80点
・四分位範囲 = 80−50 = 30点
箱ひげ図に描くと、箱は50〜80点の範囲、箱の中の線は60点、ひげは40点と90点まで伸びます。

正規分布 — 世の中に最も多い分布

身長や測定誤差など、多くのデータは平均付近が最も多く、平均から離れるほど少なくなる左右対称の釣り鐘型の分布に従います。これを正規分布と呼びます。正規分布には便利な性質があり、平均±1標準偏差の範囲に全体の約68%平均±2標準偏差の範囲に約95%のデータが入ります。たとえば平均60点・標準偏差10点のテストなら、約68%の人が50〜70点、約95%の人が40〜80点に収まると見積もれます。模試の「偏差値」も、平均を50、標準偏差を10に変換した正規分布ベースの指標です。

💡 ポイント
  • 偏差=データ−平均。偏差の合計は必ず0。だから2乗して平均する(=分散)。
  • 標準偏差=√分散。単位が元のデータと同じになり解釈しやすい。
  • 四分位数はデータを4等分する値。Q3−Q1=四分位範囲(中央50%の広がり)。
  • 箱ひげ図は5数要約(最小・Q1・中央値・Q3・最大)の図。分布の比較に強い。
  • 正規分布では平均±1σに約68%、±2σに約95%が入る。

練習問題

  1. データ 6、8、10、12、14 の平均値・分散・標準偏差を求めなさい(√2≒1.41としてよい)。
  2. 9人の得点 10、20、30、40、50、60、70、80、90 の第1四分位数・中央値・第3四分位数を求めなさい。
  3. 平均160cm、標準偏差5cmの正規分布に従う集団で、身長155cm〜165cmの人はおよそ何%いるか答えなさい。

解答・解説

  1. 解答:平均値10、分散8、標準偏差2√2≒2.83
    解説:平均=50÷5=10。偏差は−4、−2、0、2、4で、2乗の合計は16+4+0+4+16=40。分散=40÷5=8、標準偏差=√8=2√2≒2.83。
  2. 解答:Q1=25、中央値=50、Q3=75
    解説:中央値は5番目の50。下の組{10,20,30,40}の中央値は(20+30)÷2=25、上の組{60,70,80,90}の中央値は(70+80)÷2=75。四分位範囲は75−25=50。
  3. 解答:約68%
    解説:155〜165cmは「平均±1標準偏差」の範囲(160±5)。正規分布ではこの範囲に約68%が入る。±2σ(150〜170cm)なら約95%。

このレッスンのQ&A

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